今年(2026年)に入ってから、我が家にも「日本郵便を騙る不審な自動音声ガイダンス」の電話がかかってきました。
本物の郵便局からの業務連絡のように聞こえました。今回は、この「自動音声詐欺の仕組み」と「正しい身の守り方」を学んでいきたいと思います!
同じ電話がかかってきて不安に思っている方、ご家族の安全を守りたい方は、ぜひ知識のアップデートとして最後までお付き合いください。

不審な自動音声のメッセージ内容
まずは、我が家にかかってきた電話の音声テキストから、どのような手口が使われているのかを確認してみましょう。
「日本郵便株式会社です。お客様の郵送物に不備があるため、お荷物をお預かりしております。ご対応をいただけるまで配送サービスを停止いたします。オペレーターとお話ししたい方は『9』を押してください。」
音声のトーンはいかにも公的な機関が使っていそうな、非常に落ち着いた、精巧な機械音声(自動アナウンス)でした。
ここで学ぶべき最大のポイントは、「配送サービスを停止いたします」という強い言葉でこちらの不安を煽り、最終的に「オペレーターと話すために『9』を押せ」と誘導してくる点です。
この「不安を煽ってボタンを押させる」というパターンをあらかじめ知っておくだけでも、最初の警戒スイッチを入れることができます。
本記事に記載している自動音声のメッセージ内容や番号(875)は、2026年5月に確認されている一例です。詐欺グループは日々手口を変化させており、今後は、「別の番号(例:『+』から始まる国際電話など)」からかかってきたり、「マイナンバーの確認」「税金の還付手続き」など別の口実を騙ったりする可能性があります。「875ではないから安全」とは言い切れないため、不審な自動音声全般に対して一律で警戒しましょう。
検索しても出ない?「875」から始まる着信番号の正体
今回、この電話をかけてきた発信元の番号は「875」から始まるもの(875-〇〇〇〇-XXXX)でした。
ネットで検索しても全く情報が出てこない不思議な番号ですが、この番号の構造を紐解くと、以下のような通信の裏側が見えてきます。
「海外・衛星電話コード」の悪用を知る
通信の規格において、「875」から始まる番号は「海上移動業務(船舶など)や衛星電話」に割り当てられている特殊な国際コードです。
この「875」から始まる不審な自動音声は、日本郵便だけでなく、厚生労働省を騙る手口でも使われています。 実際、厚生労働省 四国厚生局の公式発表「厚生労働省や地方厚生局の職員を装った不審な電話やメールにご注意ください」の事例集にも、2026年1月29日発生「衛星電話等に割り当てられている番号(875から始まっていた。)」という全く同じ手口の不審電話が実例として明記されています。
なぜネット検索でヒットしないのか?
詐欺グループは、インターネット回線(IP電話)を悪用し、コンピューターで架空の電話番号をランダムに大量生成・偽装して機械的に一斉発信していると思われます。
今回使われた番号は、あなたや私に電話をかけるためだけに作られた「使い捨ての番号」である可能性が極めて高いため、まだネット上に情報が出回っていなかったのでしょう。
日本郵便のような国内の大手企業が、一般のお客様に対してわざわざ海外の衛星電話回線(875)を使って自動音声で電話をかけてくることはありません。
罠!「9」を押してオペレーターに繋がるとどうなる?
もしもガイダンスの指示に従って「9」のボタンを押してしまった場合、一体何が起きるのでしょうか?
ボタンを押した瞬間、海外や特殊な回線を経由して、詐欺グループのコールセンター(アジト)にいる生人間のオペレーターに繋がってしまいます。そこから先は、おそらく以下のようなシナリオへと誘導されます。
- 個人情報の徹底的な聞き取り
「不備を確認するため」と言葉巧みに、あなたの氏名、正確な住所、生年月日、携帯電話番号などを聞き出されます。 - クレジットカード情報や口座情報の搾取
「未払いの手数料がある」「配送を再開するためのデポジットが必要」などと言われ、クレジットカード番号やセキュリティコードを要求されます。 - 警察や検察を騙る「二次詐欺」への発展
「あなたの名義のキャッシュカードが犯罪に使われている」などと脅し、最終的にネットバンキングからお金を振り込ませようとするケースも多発しています。
「怪しいな」と思っても、ボタンを1回押すだけで、プロの詐欺師と直接会話させられる罠に飛び込むことになります。
ガイダンス内で「オペレーターに繋ぐ場合は9を押してください」とアナウンスされていても、「9を押さなければ大丈夫」と過信するのは禁物です。 一般的な自動音声システムの中には、ボタンを押さずに放置したり、違うボタンを押したりした場合でも、自動的に有人オペレーターへ転送される仕組み(仕様)になっているものが存在します。詐欺グループのシステムも同様の危険性があるため、アナウンスが流れた時点で、何も押さずに速やかに通話を切断することをお勧めします。
日本郵便の「公式見解」を知っておこう
実際のところ、日本郵便側はこのような手口についてどう言っているのでしょうか。
日本郵便株式会社の公式サイトでは、「日本郵便や郵便局を装った不審な電話にご注意ください」という特設ページを設けて、まさに今回のような手口を名指しで注意喚起しています。
公式ページによると、「自動音声によるガイダンスを流し、プッシュボタンを操作させてオペレーターに繋ごうとするもの」は、不審な電話の主な特徴であると明記されています。
つまり、郵便局側からこのような自動音声を使って荷物の不備を知らせてくる正式なサービスは存在しない、ということです。
心当たりのない不審な電話があっても、案内されている番号に折り返したり、ボタン操作をしたりしないよう公式からも強く呼びかけられています。
被害を防ぐための「3大鉄則」
万が一、あなたの家やスマホにこのような電話がかかってきたり、留守電が残されていたりした場合は、次の3つの対応を徹底しましょう。
- 絶対にガイダンスの指示(ボタン入力)に従わない
- 着信履歴の番号には絶対に折り返し電話をかけない
- 着信履歴から番号を削除し、可能なら「着信拒否」に設定する
相手はあなたの名前や住所を知ってかけてきているわけではなく、機械でランダムに番号を叩いているだけです。こちらが「完全に無視」を決め込めば、それ以上被害が拡大することは不可能です。
「875」などの特殊な国際コードや衛星電話の番号へこちらから折り返し電話をかけてしまった場合、相手に繋がらなかった(またはすぐ切られた)としても、高額な国際通話料金(ワン切り詐欺と同等のリスク)が自己負担で発生する恐れがあります。着信履歴に見覚えのない国際番号を見つけても、興味本位での折り返しは絶対に避けましょう。
「本当に荷物の心当たりがある」という場合の正しい確認方法
「ちょうどネット通販で買い物をしたばかり」「本当に荷物が届く予定がある」という方もいらっしゃると思います。詐欺グループはそこを狙ってきます。
もし本物の荷物か不安になった場合は、かかってきた電話(875の番号やオペレーター)には絶対に頼らず、以下の「公式ルート」から自分で確認しましょう。
- 通販サイトの「購入履歴」を見る
Amazonや楽天市場、メルカリなどを利用した場合は、それぞれのアプリや公式サイトの「マイページ」から、発送ステータスや配送状況を確認してください。不備があればそこに通知が来ています。 - 「お問い合わせ番号(追跡番号)」で調べる
荷物が発送されると、必ず「発送完了メール」などが届き、そこに11桁や12桁の「お問い合わせ番号(追跡番号)」が記載されています。その番号を、日本郵便の公式WEBサイトにある「郵便追跡サービス」に直接入力して検索してください。 - 郵便局の「公式窓口」へ自分で調べて電話する
どうしても不安な場合は、不審な電話のオペレーターに繋ぐのではなく、日本郵便の公式ホームページ等に掲載されている「お客様相談窓口」の電話番号や、お近くの郵便局の電話番号を自分で調べて、直接問い合わせをしてください。
「向こうからアプローチしてきた連絡先」を使うのではなく、「こちらで調べた公式の連絡先」を使うこと。これが、今の時代の詐欺から身を守る最大の鉄則です。
すでにオペレーターと話してしまい、「個人情報を教えてしまった」「お金を振り込んでしまった」という場合は、決して一人で悩まず、すぐに以下の公的窓口へ相談してみることをお勧めします。(相談は無料ですが、通信料は利用者負担ということです。)
- 警察相談専用電話:
#9110(または最寄りの警察署) - 消費者ホットライン:
188(局番なしの3桁) - カード情報を伝えてしまった場合は、クレジットカード会社(カード裏面の連絡先等)へ即座に連絡し、利用停止手続きを行いましょう。
【参考】
・政府広報オンライン:警察に対する相談は警察相談専用電話 「#9110」番へ
・政府広報オンライン:どうしよう?困ったときは、消費者ホットライン188番にご相談を!
まとめ:怪しい自動音声は「即切り・無視」が正解!
今回は日本郵便を騙る「875」から始まる不審な自動音声電話について学びました。
「荷物を預かっている」「配送停止」と言われると一瞬焦ってしまいますが、「不安を煽って正常な判断力を奪う」のが王道の手口です。まずは一呼吸置いて、この記事を思い出してください。
今回のようなランダムな一斉架電から身を守るためには、個人の警戒だけでなく、固定電話の機能活用が効果的です。常に「留守番電話設定」にしておき、相手の声や用件を確認してから折り返す(または出ない)習慣をつけるか、警告アナウンスが流れる「防犯機能付き電話機(通話録音装置)」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
今回の学びが、みなさんやみなさんのご家族の安全を守る一助にでもなれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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